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カテゴリ:文芸
![]() 今巻には、「紅葉賀」から「明石」までが収録されています。 これまで女性に関してやりたい放題だった源氏が、その奔放さが災いし、 遂に都を追われ、須磨・明石で失意の日々を過ごすことに。 *** 七帖 紅葉賀(もみじが) 藤壺に遠ざけられた源氏は、その思いを紫の上に向けるようになり、葵の上とは一層疎遠に。 藤壺は出産した皇子が源氏に生き写しで恐れ慄くが、秘密を知らぬ帝は皇子をかわいがる。 その頃、源氏は年配の源典侍から執拗に言い寄られ、それを知った頭の中将も典侍と懇ろな仲に。 ある日、頭の中将は源氏が典侍と過ごす部屋に忍び込むと、源氏を大いにからかうのだった。 八帖 花宴(はなのえん) 桜の宴で詩や舞を披露して賞賛された20歳の源氏に、弘徽殿女御は憎しみを募らせる。 終宴後、源氏は弘徽殿に忍び込み、朧月夜と扇だけを取り交わして別れる。 朧月夜は、右大臣の娘で、弘徽殿女御の妹でもあり、東宮に輿入れする予定の女性だった。 源氏は、右大臣家の宴に招かれると姫君たちの居室に向かい、朧月夜を探し当てる。 九帖 葵(あおい) 桐壺帝が譲位し、弘徽殿女御が産んだ皇子が朱雀帝になると、右大臣家がその権勢を強める。 源氏に冷遇された六条御息所は、娘が斎宮に定められると、娘と共に伊勢に下向しようと考える。 葵祭の日、六条御息所の車は葵の上の車と鉢合わせして騒動となり、御息所は病に伏せる。 一方、葵の上は物の怪に取り憑かれて出産後に急逝、源氏は悲しみにくれる。 しかし、喪が明けて二条院に戻ると、美しく成長した紫の上と男女の契りを結ぶ。 十帖 賢木(さかき) 源氏は、伊勢下向を決心した六条御息所が暮らす野宮を訪ね、別れを惜しむ。 桐壺院崩御後、朧月夜は尚侍として朱雀帝の寵愛を受けていたが、源氏への思いを絶ち切れない。 源氏は、新しく斎院となった朝顔の君に、そして朧月夜にと、とりとめのない恋に悩む。 一方、源氏の執心が強まることを思い悩んだ藤壺は、桐壺院の一周忌法要後に出家する。 さらに、源氏は朧月夜との逢瀬の現場を右大臣に目撃され、右大臣家の激しい怒りをかうことに。 十一帖 花散里(はなちるさと) 恋愛だけでなく、世間一般の動きまでもが困ったことになり、源氏は世の中全てが厭わしくなる。 そんな中、故桐壺帝の女御であった女性の邸を訪れ、故桐壺帝の思い出などを語り合い、 その後、かつて宮中でちょっとした逢瀬を交わした女御の妹・花散里を訪ねる。 十二帖 須磨(すま) 源氏は自ら隠棲することを決意し、故桐壺帝の御陵を訪ねた後、紫の上を都に残し旅立つ。 須磨では、わびしさから紫の上や藤壺、朧月夜、六条御息所らに手紙をしたためる。 都の人々も源氏不在を嘆いていたが、弘徽殿大后を恐れ、便りをする者もいなくなってしまう。 そんな中、宰相となった頭の中将が訪ねて来て、二人は漢詩を作り合って夜を明かす。 その頃、明石の入道は、この機を逃さず娘を源氏に縁づかせようと画策していた。 そして、心身の穢れを祓うべく水辺で禊ぎをしていた源氏に、いきなり暴風雨が襲いかかる。 十三帖 明石(あかし) 風雨が静まった頃、うとうとした源氏の夢枕に故桐壺帝が立ち、この浦を立ち去るよう告げる。 翌朝、明石の入道が源氏を迎えに船を用意して現れ、源氏は明石に移ることに。 源氏は、入道の娘・明石の君と結ばれるが、その後、紫の上を思って明石の君を冷遇。 しかし、明石の君が懐妊すると、再び心を寄せるようになる。 一方、都では眼病を患った朱雀帝が、源氏への不遇が原因と考え、京へ帰還するよう命じる。 2年ぶりに都に戻った源氏は、権大納言に昇進し、久々に宮中に参内したのだった。 *** 角田光代さんによる「文庫版あとがき」が秀逸です。 角田さんの訳でしか六条御息所を知らない私には、 読み進めている段階から、彼女が悪人だとはとても思えませんでした。 おそらく、角田さんの六条御息所に対する想いが、文面から伝わってきたからでしょう。 一方、源氏の行為に想像を絶するショックを受けたはずの紫の姫君については、 なぜ、途中から拒絶する姿勢が全く消え失せてしまったのだろうと疑問を抱いていました。 しかし、この「文庫版あとがき」を読んで、スッキリと解決することが出来ました。 また、朝顔や明石の女君についての考察も、納得の一言です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.12.29 18:05:43
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