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2015.10.09
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 母は1900年ちょうどの生まれだった。

 1994年に94歳で他界した。

 存命なら115歳になる。

 
 父は母より1年早く1899年に生まれている。

 81歳で1980年に亡くなった。

 たまに死児の齢ではなく、

 亡き両親の齢を数えることがある。

 お読みいただいてお解りのように大変数えやすい。

 父はガンで1年弱ほど闘病生活を送った後、

 僕の直木賞受賞を喜んで、その2週間後に旅立った。

 
 健康寿命という言い方がある。

 どうも解釈しづらい言葉で嫌いな4字熟語である。

 病気が発見されるまでを健康寿命というなら、

 父の場合は80歳ということになる。

 でも、父はそのしばらく前から痩せてきて、

 トイレに入ると1時間は出てこなかった。

 便通障害だと家族にはすぐ解る。

 病院に行くようしつこく勧めたが、

 父は頑なに断り続けた。

 ようやく行く気になって1人で行った。

 病院嫌い薬嫌いでとびきりの健康だっただけに、

 自分の体に起こった異変に本当は慄いたのだろう。

 10日ほど経って僕が呼ばれ検査の結果を知らされた。

 直腸がんですでに肺と肝臓に転移しており、

 余命3ヶ月と告げられた。

 30数年前のことで当時は本人にはまず告知しなかった。

 人工肛門をつけて経過は順調で、

 好きな焼酎を飲み外へ外出もして、

 かなりの小康を得て11ヶ月余生き延びた。

 主治医が告げた余命だったら僕の直木賞受賞は知らずじまいだった。

 というより、受賞作は父の余命を知って、

 父に捧げる作品として書きだしたから、

 父ががんにならなかったらその作品は生まれなかった。

 
 ところで、主治医の見解によれば、

 直腸がんの発病は判明した時点の2年ぐらい前だったろう、

 ということである。

 判明した時点から更に2年引いて78歳が父の健康寿命、

 ということになる。

 1980年発表の日本人男性の平均寿命が73・35歳だから、

 父は当時としては長命のほうである。

 父は歯が丈夫で母は嫌がったが、

 50代の半ばまでビールの栓はガリッと歯で抜いた。

 亡くなる頃には歯は汚く変色していたが、

 欠けた歯は奥歯が1本だけだった。

 歯磨きは朝1回だけだったのに。


 なぜ父はもっと長生きできなかったのだろう。

 そう今でも思うのは、

 母が51歳で総入れ歯になったからである。

 母はまめでよく動きよく外出し、

 90歳を超えてからも近隣の茶飲み友達とよく行き来していた。

 風邪はちょこちょこ引いていたが、

 寝こむことは殆ど無かった。

 子どものときから歯が悪いのが頭痛の種だった。

 几帳面な性格だから歯磨きはちゃんとやっていたと思う。

 94歳になった年の晩春に体調を崩し、

 2ヶ月ほど寝たり起きたりの生活を続け、

 僕ら家族に看取られてそれほど苦しまずに息を引き取った。

 亡くなる数日前から外していた入れ歯を棺の隅に入れたとき、

 歯が丈夫な人は長命だ、

 というのは迷信に近いことだな、と僕は思った。

 母が亡くなった年の日本人女性の平均寿命は82・98歳。

 今だったら母は100歳も可能だったかもしれない。

 食べ物を咀嚼する肝心要の歯の丈夫如何が、

 長寿にあまり関係しないとすれば、

 父と母の寿命の差は何からきているのだろう。

 父は友達づきあいは殆どなかった。

 伝書鳩のように帰ると晩酌して、

 テレビで巨人戦を見てから寝るのがパターンだった。

 酒のツマミになるものが好きで食べ物は偏っていたかもしれない。

 それに酔うと愚痴っぽかった。

 
 母には好き嫌いがなかった。

 それに愚痴は一切言わなかった。

 意思の強さは抜きん出ていた。

 意思かなあ、長寿達成の根幹は意思の強さかなあ、と思う。


 某誌で今の平均寿命算出には、

 その時点では解るはずのない未来の寿命を予測する、

 という大きな矛盾があることを知った。

 例えば僕の生まれた年の日本人男性の平均寿命が50歳だったとする。

 その年に生まれた日本人男性が全て死に絶えた時点で平均寿命を出したら、

 50歳を遥かに超えているはずである。

 
 平均寿命だとか、歯がまだ1本かけていないだとかにこだわらず、

 生を楽しみ意思強く人生を紡げば結果として、

 100歳という健康長寿を成就させることが可能なのではないか。

 そんなふうに思うだけで健康長寿は延びそうな気がする。

 

 





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最終更新日  2015.10.09 15:42:51
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